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NEX-5N の憂鬱 [レンズ沼]

NEX-5N を買ったのが去年の12月.Aマウントの入門用単焦点レンズ2本とマウントアダプターとセットで買ったのだった.それだけでそれまで使っていたコンパクトデジカメとは全く次元の異なる写真が撮れるのであっという間に取り憑かれてしまった.室内で子供を撮るからといって,大枚はたいて Sonnar T* 1.8/24 も発売と同時に買ったっけ.そうしてレンズが違えば描写も違うのだということを知ってしまった.「はじめてレンズ」とはシャープネスも,アウトフォーカスの雰囲気も全然違うように思えてならない.最初に買ったAマウントの単焦点の描写がとたんにもっさりとして見えてきてしまうのだからしかたない.あれこれとレンズを漁るようになるのに時間はかからなかった.

それから9ヶ月,たった9ヶ月だから,写真の腕は大して上がらないけれど,アウトプットの画像の品質についての目はどんどん肥えていってしまうのだからどうにもならない.そうして,どうも憂鬱になってしまうのが,やはりレンズにまつわる事柄である.

結論から言うと,NEXシリーズのEマウントはレンズのラインナップがあまりにも乏しい.50mm f1.8 などはとてもよい描写らしいが,これは中望遠レンズだから,考え方にもよるが使い方が限られている.なるほど,Sonnar 24mm は良いレンズだし,フィルム換算36mm相当だから,ある意味つぶしがきく画角,1本とりあえずZeissレンズを出すならこれしかないというスペックではある.

まず問題なのはフィルム50mm相当をカバーできる良いレンズがないということである.いわゆる標準レンズの画角がマクロレンズとズームレンズしかないというのは寂しい限りで,本体にくっついてくるズームレンズの描写がまるでソフトフォーカスがかかったようなしろものだから,Sonnar 24mm をやったあとではマウントする気にもなれない.

標準画角はソニーのロードマップでは単焦点とGレンズブランドの標準ズームが予定されているようなのでこれに期待するという手もある.それに,たとえば,手許の Elmarit-M 28mm f2.8 (3rd. gen) は非常に良い写りをするから,これでとりあえず満足している,という言い方もできる.

本当に問題なのは,広角域だ.ちょっと旅行して,あるいは,出張のついでにパシャリとやる.そういうときは,フィルム24mm-28mmぐらいの広角レンズがとても気持ちがいい.手許の Distagon 4/18 ZM は非常に性能がよく,旅行に行くと昼間はこれでばかり写真を撮っている,というようなことになりがちなのである.18mm はフィルム換算27mmだからとても良いレンジに入っている.しかし,一旦夜の帳が落ちると,あるいは,室内で撮影ということになると,f4 では力不足だと感じる.手ぶれ補正がないのであれば,f2,少なくともf2.8は欲しいところだ.同じZMマウントの Distagon 15/2.8 は1段明るくて魅力的だが,レンズが巨大だし,なにより高価すぎる.

そもそも,ZMレンズはライカのMマウント用レンズで,フルサイズ対応だから,そんなものをアダプターで取り付けて使っているのは非効率とも言える.APS-Cサイズのセンサーを前提とした設計をすればレンズはよりコンパクトに,あるいは軽くできてもおかしくない.ソニー純正パンケーキの 16mm f2.8 はペラッペラな感じの写りで,ある種のシチュエーションでは面白いかもしれないけど,つけっぱなしにして安心できるような全方位型のレンズではない.マイクロフォーサーズなら,Olympus の 12mm f2 (フィルム換算24mm)のようなレンズがある.Olympus さすがによくわかっているメーカーだ,と思ってしまう.

NEX-5N のセンサーや画像処理エンジンは非常に優れているように思える.上に挙げた Elmarit-M 28mm f2.8 や Distagon 4/18,あとは,Planar 1.4/50 のようなレンズをマウントして撮った写真は,ピンぼけや手ぶれにさえなっていなければ,また,ISO感度が上がりすぎていなければ,もうこれ以上高画質にしても(僕にとっては)あまり意味がないな,と思えるぐらいの画質である.それぐらい本体の性能が高いだけに,レンズの方が大幅に追いついていないという現状が口惜しい(これはちまたで既に言い古されていることだろうけれども).触ったことないけれど,NEX-7 などを手にしても結局同じ問題に直面してしまうのではないだろうか.

そういう現状では結局超広角〜広角の写真をそれなりの画質で撮りたいと思えばCanonやNikonのフルサイズセンサーの機種に手を出す方向に行かざるを得ない気がする.写真を撮るそのことだけを考えればそれはそれで面白いだろうなと思うけれど,レンズと本体とあわせて1キロ以上にもなるような巨大なカメラは,そもそも普段から鞄に忍ばせて... というのは無理っぽい.写真を撮るぞ!と気合いを入れて出かけないとだめなのだから,僕の生活スタイルには向いていない気がしてならない.その点ライカのM9なんかはとてもいいんだろうけれど,いかんせん本体が高すぎて欲しいという気が起きてこない.

ミラーレスのユーザーが増えれば面白いレンズもたくさんリリースされてくるのかもしれないけど,それもまだまだ先のことなのかな,と思うと憂鬱になる.我慢できなくなってフルサイズのいわゆる「一眼レフ」に手を出してしまう前に状況が良くなってくれるといいのだけれど.....

http://www.flickr.com/photos/pugnari/
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